不動産売買サポートブログ マイホームを売り買いする前に

不動産売買の際に注意すべきポイント・マイホームを購入する際の注意ポイントについて情報発信しています。

【不動産売却時の税金について】基礎知識

不動産売却時に、見落としがち

なのが、税金、です。

 

後から請求が来るものもあるので、

金額をきちんと把握し、

資金の確保が必要です。

 

それに金額も意外と

大きな出費になります。

 

厳密な金額を確認するには

税理士に相談するのが間違い

ありませんが、

税理士への相談は敷居が高くも

あります。

 

場合によっては、費用もかかります。

 

そこで今回は、税金の初心者でも

概算の税額を把握できるよう、

基礎知識を、かみ砕いてお話しします。

 

用語や計算方法の説明をはじめ、

特例や金額計算例もご紹介しますので、

ご自身の状況と照らし合わせて

ご覧ください。

 

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1 不動産売却に伴う税金は、3種類

 不動産の売却に伴う税金は、

つぎの3種類があります。

 

印紙税

・譲渡税

・住民税

 

印紙税」は売買契約時に

支払うことになります。

 

「譲渡税」と「住民税」は、

売却後の確定申告を

することにより

支払うことになります。

 

これらの税金を考慮せずに

売却してしまうと、

手元に残るお金が

想定より少なかった、という

結果になる可能性があります。

 

売却資金を教育費や新居の

購入資金に充てようと

していた場合は、算段が

大きく狂ってしまいます。

 

売却してしまった後で

困らないために、

それぞれの税金がいくら

必要なのか、

確認していきましょう。

 

2 不動産売却に伴う税金:印紙税

 1つ目は、「印紙税」です。

 

不動産売買契約書には、

契約金額に応じた印紙を

貼付します。

 

不動産売買契約書は、通常、

売主と買主が1通ずつ所有するため、

それぞれがそれぞれの印紙代を

負担します。

 

平成26年4月1日から

2020年3月31日までの間に作成される

不動産売買契約書については、

軽減措置が適用され下記の税額に

なります(平成30年4月1日現在)

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※税率は変動することがあるので、

下記リンクの国税庁WEBサイトにて

最新の情報をご確認ください。 

No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置|国税庁

 

PickUp:1千万円超~5千万円以下の

物件は1万円、

5千万円超~1億円以下の物件は3万円。

 

3 不動産売却の税金:譲渡所得税と住民税

 2つ目と3つ目は

「譲渡所得税」と「住民税」です。

 

この2つは、売却によって

利益が出た場合にのみ

支払う税金です。

 

不動産売却価格が、購入価格より

安い場合等、

売却により損をした場合は、

払う必要がありません。

 

「譲渡所得税」と「住民税」の2つは、

様々な条件によって税額が変動します。

 

そのため、この2つの税金について、

さらに掘り下げて解説していきます。

 

※譲渡所得税と住民税は、

利益が出なければ

支払う必要がありません

 

4 譲渡所得税と住民税について

 譲渡所得税と住民税は、

売却による利益にかかる

税金です。

 

税額算出には、利益(譲渡所得)が

いくらなのかが

ポイントです。

 

また、売却不動産の

所有期間によって税率が

変わるのも注意ポイントです。

 

5 課税譲渡所得の算出の仕方

 まず、譲渡所得とは、

不動産の売却金額(譲渡価額)から、

不動産の購入金額(取得費)と、

売却時にかかった費用(譲渡費用)を

差し引いたものを指します。

 

※用語解説

 譲渡価額:不動産の売却価格に、

      固定資産税と都市計画税

      清算金を足したもの

 

 取得費:不動産の購入価格および

     購入にかかった費用

     (仲介手数料等)。それらが

     不明な場合は、譲渡価額の

     5%とします。なお、

     建物については所有年数に

     応じて減価償却します。

 

 譲渡費用:仲介手数料や印紙代等、

      不動産の売却にかかった

      費用

 

計算式

譲渡所得=譲渡価額ー取得費ー譲渡費用

 

そして実際に課税される

金額(課税譲渡所得)は、

譲渡所得から、状況に応じた

特別控除額を差し引いて

算出されます。

 

計算式

課税所得=譲渡所得ー特別控除

 

たとえば、代表的な特別控除である、

居住用財産の3,000万円特別控除

の条件に当てはまる場合、

以下のようになります。

 

課税譲渡所得=

譲渡所得ー3,000万円

 

この差し引き後の金額が、

課税譲渡所得となります。

 

これに税率をかけることで、

請求される税額を

算出することができます。

※特別控除により、

課税譲渡所得が0、もしくは

マイナスとなる場合、支払いは

不要です。 

No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)|国税庁

6 減価償却費の算出の仕方

 譲渡所得を算出する際の

建物の「取得費」は、

建物の購入価格から「減価償却費」を

差し引くことで算出します。

 

減価償却とは、経年によって

 目減りした価値を

 差し引くこと、です。

 

減価償却は建物のみに

適用されます。

 

減価償却費は、定められた償却率と

計算式によって算出します。

 

居住用の建物の減価償却費の計算式は

下記です。

 

減価償却費=建物の取得価額×0.9×法定耐用年数の1.5倍の年数の償却率×経過年数

 

※経過年数の端数6か月以上は

 1年とします。

 6か月未満は切り捨てます。

 

たとえば、新築で、万円で

購入した木造建築の建物が、

築10年となった場合、

下記のようになります。

 

3,000万円×0.9×0.031×10年=8,370,000円

 

減価償却費は、8,370,000円。

 

取得費は、購入価格3,000万円ー837万円=2,163万円、

となります。

  

7 所有期間が5年超か5年以下かで税率が異なる

 先ほど算出した課税譲渡所得に

税率をかけると

税額を算出できます。

 

ただし、この税率は、不動産の

所有期間で異なります。

 

不動産を売却した年の、

1月1日現在で、

所有期間が5年を超えている場合は

「長期譲渡所得」に該当します。

 

5年以下である場合、

「短期譲渡所得」に該当します。

 

それぞれの税率は以下です。

 

・長期譲渡所得:20%(所得税15%+住民税5%)

・短期譲渡所得:39%(所得税30%+住民税9%)

 

なお、平成25年1月1日~

平成49年12月31日までは、

復興特別所得税として、

所得税に2.1%が

上乗せされます。

 

復興特別所得税込みの税率

長期譲渡所得:計20.315%

短期譲渡所得:計39.63%

 

長期譲渡所得と短期譲渡所得では、

税率が約2倍変わります。

 

所有期間も加味して売却時期を

検討した方が良いです。

 

特に、所有期間4年目の場合などは、

少し待った方が

税率は低くなります。

 

買い手のつくタイミングとの

兼ね合いもあり、

また、売却価格にもよるので、

総合的に判断する

必要があります。 

No.3208 長期譲渡所得の税額の計算|国税庁

No.3211 短期譲渡所得の税額の計算|国税庁

 

8 税額が軽減される特例

 居住用財産(マイホーム)と

空家に関する

代表的な特例を4つ

ご紹介します。

 

「居住用財産の3,000万円控除」

「居住用財産の買い替え特例」

「居住用財産売却の軽減税率の特例」

「空家に係る譲渡所得の特別控除」

 

※居住用財産とは、

実際に居住している物件、もしくは、

実際に居住していた事実があり、

住まなくなってから

3年が経過した日の

12月31日までの物件」

のことです。

 

・居住用財産の3,000万円控除

マイホームを売却した場合、

譲渡所得から最高3,000万円を

控除できる特例です。

※住宅ローン控除との併用は

 できません。

 住み替えの場合は注意が必要です。

 

・居住用財産の買い替え特例

 居住用不動産を売却するするだけでなく、

買い替える場合。

 

売却したマイホームの譲渡価額より、

買い替えたマイホームの取得価額の方が

高い場合、

利益に対する課税が繰り延べられて、

税負担がなくなります。

 

※課税の繰り延べ

買い替えたマイホームを、将来、

売却した際に、

繰り延べられた所得に課税される

 

計算式

課税譲渡所得=既マイホームの譲渡価額ー新マイホームの取得価額ー(取得費+譲渡費用)×(既マイホームの譲渡価額ー新マイホームの取得価額)/既マイホームの譲渡価額

 

税率は、一律20.315%(所得税15.315%+住民税5%)。

3,000万円控除との併用は不可。

 

この特例を受ける要件は、

下記を満たす必要があります。

 

「売却したマイホームの所有期間が

 10年超かつ居住期間は10年以上

 であること」

「譲渡価額が1億円以下であること」

「新マイホームの取得が、

 既マイホームを売却した年の

 前年1月1日から

 売却した年の翌年の12月31日まで

 であること」

「確定申告をすること」

 

・居住用財産売却による軽減税率

マイホームの所有期間が、

譲渡した年の1月1日において

10年を超えている場合、

課税譲渡所得のうち

6,000万円までは下記の税率が

適用されます。

 

課税譲渡所得のうち

6,000万円まで

所得税10.21%+住民税4%=計14.21%

 

6,000万円をこえる部分

所得税15.315%+住民税5%=計20.315%

 

※実際に居住しているマイホームの売却で適用されます。

 

・空家に係る譲渡所得の特別控除

 相続した空家を、

「耐震リフォーム」もしくは

「取り壊し」の後に売却する場合、

マイホームと同様に3,000万円控除を

受けることができます。

 

話題に上がる空家問題のように、

近隣に迷惑をかける可能性のある

管理されていない空家の

有効活用を促すための特例です。

 

適用期間が、平成28年4月1日~

平成31年12月31日までと

短期間になります。

 

適用要件は細かく、多岐に

わたります。

主な適用要件は下記になります。

 

「1981年5月31日までに建築された

 一戸建て住宅」

「相続発生後、賃貸や居住していない空家」

「相続開始から3年後の12月31日までに

 売却したもの」

「新耐震基準の性能を満たすよう

 改修された家屋とその敷地、

 もしくは

 家屋を解体して更地になった土地」

「譲渡価格が1億円以下」

No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例|国税庁

 

9 税額計算例

 具体例をもとに税額を試算します。

 

築15年の居住用マンションを

売却する場合

 

内容

5,000万円で、新築で購入。

売却価格5,500万円。

固定資産税等清算金15万円。

建物の購入価格2,500万円。

 

「譲渡価額」

譲渡価額=売却価格5,500万円+固定資産税等15万円=5,515万円

 

「取得費」

減価償却費=建物の購入価格2,500万円×0.9×0.015×15=5,062,500円

取得費=土地の購入価格2,500万円+建物の購入価格2,500万円ー減価償却費5,062,500円=44,937,500円

 

「譲渡費用」

仲介手数料=(売却価格5,500万円×3%+6万円)×消費税1.08=1,846,800円

売却価格5,500万円より、印紙税3万円

譲渡費用=仲介手数料+印紙税=1,876,800円

 

「譲渡所得」

譲渡所得=5515万円ー取得費44,937,500円ー譲渡費用1,876,800円=8,335,700円

 

「課税譲渡所得」

この場合、居住していたマイホームの

売却のため、

居住用財産の3,000万円控除を

受けることができます。

 

また、所有期間が10年を

超えているため、

居住用財産の売却による

軽減税率14.21%が

適用されます。

 

譲渡所得8,335,700円、居住用財産の3,000万円控除。

 

譲渡所得が3,000円以下なので

全額控除され、税額0円。

 

軽減税率14.21%をかけるまでもなく、

税金が発生しない、

といった結果になります。

 

結果、この具体例のような

マンションの売却に伴う

譲渡所得税と住民税は、0円、

となります。

 

10 まとめ

 いかがでしたでしょうか。

今回は、不動産売却に伴う

税金の基礎知識を

お話ししました。

 

不動産の売却に伴う費用として

税金については見落としがちです。

 

仲介手数料等の諸経費以外にも

税金を支払う必要のあるケースが

あるため、

売却金額ー仲介手数料が

手元に残る金額とは

限りません。

 

当記事をもとに、事前に

確認しておきましょう。

 

なお、税制は複雑であるとともに

日々変更があります。

 

特例・控除も、

今回お話しした特例以外にも

あります。

 

正確な金額を知りたい場合は、

税理士や税務署に相談をしましょう。

 

もしくは、販売を依頼する仲介業者に

問い合わせしましょう。

 

仲介業者の多くは、

税理士と連携しているため

税理士に確認して解答をしてくれる、

もしくは、

税理士を紹介してくれます。 

 

税についての相談窓口|国税庁

 

 

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